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この大きな空に淡く景色を描けたら…小さな心、空に捧げて。
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the girl
2009-07-16 Thu 22:14
いつの頃だろうか
少なくとも今より科学技術が発達し、
専門家の間で密かに
人間に足が必要かの議論がされるようになり、
人々が家を出ずに
全ての用事を済ませることができ、

…街のざわめきはまったくなくなった

家から出ることのなくなった人々は
家で過ごし仕事も家 学校も通信上で成り立っている
そして…座って全てをこなせるようになっていた

昔必要だったオフィスは
誰に壊されることもなく廃屋と化し

音や色全てが街から消えた
…灰色となった

そんな時代に合わず
街の中を毎日歩き
人を探し続ける、
ある力を持った女の子がいた
でも彼女は…自らの力を恐れていた

その女の子は
真っ白な肌と美しい黒髪が目立ち
街を歩けばみんなが振り返るような子だった

彼女は思った
『なぜ街にはビルがあるのに
お昼でさえも誰一人も居ず
幼稚園や小学校でさえも
こんなに静かなんだろう

みんな…どこにいるのかな?』

日々そう疑問をもち
答えが出ることなく彼女は歩いていた

「なぜあなたは毎日街を歩いているのですか」
そう声がした
彼女は驚いて辺りを見渡した
「あなたの前に姿をあらわすことはできないですが
天使のようなものだと思って下さい」

彼女は答えた
『小さい頃、怯えて泣いている私に母が言いました
大きくなってある人に出会ってごらん、
きっとあなたは今分からないことを解くことができるでしょう。と。
それが会って言われた最後の言葉なんです
出会うことを大事にしていた母だったので
歩いていれば出会えるかな、と』

「ずっと歩いているのですか」

『ええ。だけど人にさえ出会えないのです』

「そうですか。では…祈ってごらんなさい。強く、心から」

彼女は祈ることを拒もうとした
それは…

「祈ってごらんなさい」

強く強く祈った
神経全てを傾け
心を空に預けるように
うずくまって静かに…

すると不思議なことが起きた

彼女の左胸の辺りから
真っ赤な光が放たれ
街に注がれた

大きなビルも道路も
全てその光を浴びた

ふと顔を上げた彼女の顔は
恐怖に怯え
涙を零した

彼女は「祈る」ことを恐れていたのだ

街には色が戻ってきた
ものが生き生きとし始めた


彼女は力を使い果たし
道路でそっと横になった


人はどんどん街に出てきて
子供たちは駆け回り始めた
緑が戻り声や音も響くようになった


誰も気付かないのだろうか
見えないのだろうか
彼女の姿が。

街に笑い声や温かさが行き交っていく



一人の男性が通りかかった
「大丈夫ですか、どうされましたか」
彼女は声に気付いて目を開けた

『ありがとうございます』

かすれ声で彼女は言う

「救急車を呼びましょうか」
『いえ…大丈夫です』

でも彼女は立ち上がれなかった
そしてそれに気付いて涙を零した

なんで泣いているんだろう
誰の前でも泣いたことなどないのに私は…


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